デニム工場は、日本最大のジーンズ産地である岡山以外にも日本全国に点在しています。
実は東北にも多くの工場があり、某大手ジーンズメーカーの主力工場は東北に集中しているほど。
私たちが東北で作るのは、そのジーンズメーカーに在籍した時代から30年間、ずっと一緒に取り組んでいるから。
サキュウは、1960年代初頭に日本で初めてジーンズを縫製したとされる、「渡辺縫製」がルーツの工場で生産しています。
日本で最初のジーンズメーカーは1963年の「CANTON」(キャントン)まで遡ります。
CANTONは後に商標の関係で「BIGSTONE」と名を改め、爆発的な人気を誇ったものの、オイルショックの不況などの影響で70年代末に倒産してしまいます。
BIGSTONEの親会社は大石貿易(BIG・STONE!)。
大石貿易が国産初のジーンズの縫製を依頼した工場が、当時群馬県桐生市にあった「渡辺縫製」です。
旺盛な需要を背景にBIGSTONEは急速に成長し、学生服の生産基地だった児島地区(岡山)の協力工場で生産しつつ、同社初の自社工場として、渡辺縫製が丸ごと移転する形で宮城県河南町(現石巻市)に設立したのが、「東北ビッグストン」でした。
東北ビッグストンは大石貿易倒産後も独立工場として事業を続け、Wrangler・EDWIN・Leeなど名だたるブランドの生産に携わってきた、国産ジーンズの歴史そのものの工場です。
現在は社名も変わり、私たちタンデム社の専属工場として続いています。
サキュウの主なデニム製品は、洗い加工も宮城県で行っています。
一般的なジーンズは、ヒゲやモモ・尻など部分的に色を落とす前工程を経た後、軽石やゴルフボールなどの物体を混ぜた釜で洗う事で、一気に全体にアタリをつけます。
しかし、自然な色落ちを追求するサキュウの場合は、釜には物体を入れずに洗います。
物体に頼らないので、全体のアタリ出しは全て手作業で行うことになります。
職人が、本当に穿いた色落ちをイメージしながら、自然なぼかしをサンドペーパーで描くように入れてゆきます。
このように、途方もない時間とコストをかけ、サキュウならではの自然な色落ちが完成するのです。